オルカン1本じゃダメ? 私がサテライトに米国高配当株ETFを「少しだけ」持つ理由
「オルカン1本でいいって聞くのに、なんで高配当ETFも持ってるの?」
「コアはインデックスって言ってたのに、矛盾してない?」
もっともな疑問だと思います。私の投資の主役は、いまも変わらず全世界株のインデックス(オルカン)。でも実は、そのわきに米国の高配当株ETFを「少しだけ」持っています。なぜ一本に絞らないのか。いつ、いくらから、どういう順番で買ってきたのか。そして、いま振り返って思う反省まで。投資歴約7年・40代の私が、正直に書きます。
増やす力シリーズの「応用・出口」ステップ、4本目です。
個別株を購入した経験で、「サテライトの考え方は、シリーズ後半で改めて詳しく」とお約束していました。今回は、その続きです。
買い始めたのは2022年ごろ。投資を始めて3年ほど経ったころでした。最初から決めていたわけではありません。日本の高配当株と、米国の高配当株ETFを並べて、しばらく迷った末の結論です。
この記事で書きたいのは、「どのETFがいちばん優れているか」という比較ではありません。私がいつ、いくらから、どういう順番で買ってきたのか。 そして、いま振り返って思うこと。合理性だけでなく、長く続けられるかという気持ちの部分も含めた、私なりのバランスの話です。
そもそも「コア・サテライト」って?
先に言葉を整理させてください。自分の資産の置き方を人に説明するとき、私がいちばん近いと感じているのがコア・サテライトという言葉です。資産を「主役」と「脇役」に分けて持つ、という考え方をあらわします。
- コア(主役) … 資産の大部分。どっしり構える、土台の部分。
- サテライト(脇役) … ごく一部。主役の邪魔をしない範囲で、味つけする部分。
私の場合、コアは全世界株のインデックスファンド(オルカン)。資産の大半は、ここに置いています。そのうえで、ほんの少しだけ、サテライトを加えている。それが今回のテーマです。
私が大事にしているのは、あくまで主役はコアだということです。サテライトは、料理でいえば最後にひとふりする薬味のようなもの。なくても成立するけれど、あると少し楽しくなる。私のなかでは、その程度の位置づけにしています。
サテライトは「攻めの一発逆転」ではなく、主役を引き立てる、ほんの味つけ。
私のサテライトは、米国高配当株ETF3本
では、その「味つけ」が何かというと、米国の高配当株ETFです。具体的には、次の3本を持っています。
- VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
- SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)
- HDV(iシェアーズ・コア米国高配当株ETF)
ここで強調しておきたいのは、この3本も、個別株ではなく指数に連動するETFだということ。「高配当の会社を、自分で一社ずつ選んで買っている」わけではありません。それぞれが、配当利回りの高い米国企業を数十~数百社まとめて持つ商品です。
つまり、コアのオルカンと同じく、「指数に乗る」という発想は変わっていない。主役が「世界全体」なら、脇役は「米国の高配当株」。そんなイメージです。
日本の高配当株とは、けっこう長く迷いました。 利回りだけを見れば、国内にも魅力的に映る銘柄はあります。それでも米国のETFにしたのは、結局のところ自分で一社ずつ選ぶ作業に戻りたくなかったからです。
個別株を調べていたころ、株価を1日に4回ほど見ていた時期がありました。脇役でまで同じことをするなら、たぶん続かない。そう思って、まとめて持てるETFのほうを選びました。
念のためですが、これは特定の商品をおすすめするものではなく、あくまで「私の一例」です。同じ高配当ETFでも、中身や性格は3本それぞれ少しずつ違います。構成銘柄や分配金、経費率も変わるため、買う前には必ず各社の公式情報を確認する前提です。
月5万円から始めて、いまはNISAの成長投資枠で
買い方は、途中で一度変えています。
始めたころは、特定口座で月5万円でした。当時のNISAでは月66,666円を積み立てていたので、そこに高配当ETFを足して、合わせて月10万円ほど。これが2022年から2023年にかけての形です。
2024年に新しいNISAが始まってからは、成長投資枠で買うように切り替えました。いまは月30万円の積立のなかに含まれています。別枠でどんどん足しているのではなく、決めた枠の内側に収まっている、という言い方が正確です。
この「枠の内側に入れる」というのが、自分にとっては歯止めになっています。サテライトを増やそうとすれば、その分コアを削ることになる。そう考えると、自然と手が止まるからです。
なぜ"少しだけ"持つのか
「リターンで考えるなら、オルカン1本のほうが合理的では?」── そう言われると、半分はその通りだと思います。それでもサテライトを持っているのには、私なりの理由があります。
正しさだけで淡々と続けられるほど、私は強くありません。長い投資生活のなかでは、ときどき小さな励ましがほしくなる。サテライトは、そんな気持ちの受け皿にもなっています。
ひとつ目は、配当という「もらえる実感」です。インデックスをただ積み立てているだけだと、増えているのか減っているのか、評価額の数字でしか分かりません。でも高配当ETFは、定期的に現金(分配金)が振り込まれる。この「ちゃんと果実が実っている」という手応えが、地味だけれど、投資を続ける支えになっています。暴落で売らずに持ち続けるうえでも、この実感は意外と効くんですね。
もちろん、分配金だけで暮らしが変わるような金額ではありません。それでも、証券口座に小さな入金を見つけると、「ちゃんと前に進んでいるんだな」と思える日があります。数字の増減に振り回されがちな投資のなかで、これは私にとって、少し心を落ち着かせてくれる存在です。
そして、受け取る額が年ごとに増えていくのが、素直にうれしいんです。劇的に増えるわけではありません。それでも、去年より今年のほうが少し多い。その積み重ねを見ていると、時間が味方をしてくれている気がします。
ふたつ目は、「お金を受け取る」イメージがつかめること。インデックス投資は「貯めて増やす」局面はイメージしやすいけれど、いざ「使う・取り崩す」となると、案外むずかしい。配当を受け取る経験は、その出口のイメージをつかむ練習にもなっています(この出口の話は、次回くわしく)。
いつか働き方を少しゆるめる日が来たとき、自分は資産を売ることにどれくらい抵抗を感じるのか。まだはっきりとは分かりません。だからこそ、少額でも「受け取る」経験をしておくことは、未来の自分への予行演習のようにも感じています。
みっつ目は、シンプルに少し楽しいから。主役を淡々と積み立てつつ、脇役で「配当が入った」と小さく喜ぶ。投資を長く続けるための、ささやかな味つけです。
高配当ETFの、ここは知っておきたい
いいことばかりではありません。私がサテライトを「少しだけ」にとどめているのは、次のような点が引っかかっているからです。持っている立場だからこそ、フェアに挙げておきます。
- 高配当=高リターンの保証ではない。配当が多くても、株価の伸びがゆるやかなら、トータルのリターンでは全世界株インデックスに及ばない局面もあります。資産全体を大きく育てる役割は、あくまでコアに期待しています。
- 為替の影響を受ける。米国の資産なので、円高・円安で評価額も、受け取る配当の円換算額も動きます。私が持っている期間はちょうど円安が進んだ時期でしたが、これは逆にも振れます。
- 減配・値下がりのリスク。配当は「約束」ではありません。企業の業績しだいで、配当が減ることも、株価が下がることもあります。
- NISA口座内でも、米国現地での課税は残る。米国籍ETFの分配金には、NISA口座内であっても原則として米国現地で源泉徴収(通常10%)が行われます。しかも国内で税金がかかっていないため、確定申告の「外国税額控除」を使って、この現地課税分を取り戻すことはできません。NISAの「非課税」も、海外の税金まではカバーしてくれない、というわけです。
こうした点があるからこそ、私はサテライトを「主役にはしない」「少しだけ」にとどめています。どれも致命的だとは思っていません。ただ、資産の大半を預ける先ではないな、と考えています。
大事なのは、コアを崩さないこと
サテライトで失敗しやすいのは、「配当が楽しくなって、つい増やしすぎる」ことだと思います。
気づけばサテライトが膨らんで、主役と脇役が逆転してしまう。これだと、せっかくの「世界全体に分散する」というコアの良さが薄れてしまいます。
だから私は、サテライトの比率を、あくまで小さく保つことを意識しています。あれもこれもと手を広げず、基本はシンプルに。軸は、いつもオルカン。サテライトは、その軸を太らせる養分ではなく、あくまでちょっとした彩り。この線引きを守ることが、いちばん大事だと思っています。
主役はオルカン、脇役は高配当ETF。この順番だけは、絶対に逆にしない。
いま振り返って、ひとつだけ思うこと
ここまで肯定的に書いてきましたが、買い方については、ひとつ引っかかっていることがあります。
私は高配当ETFも、コアとまったく同じように、毎月コツコツ積み立ててきました。積立は、タイミングを読まなくていいのが良いところです。
ただ、高配当株にはタイミングを見る性格も、どうしてもあります。株価が下がって利回りが上がった局面でまとめて買えれば、その後に受け取る配当は効率よく増えていく。そういう買い方ができる商品でもあるわけです。
だとすれば、毎月きれいに積み立てるより、ある程度の資金を手元に置いておいて、下がったときに入れるという選択もあったのではないか。いまは、そう考えています。
もちろん、これは後から振り返っての話です。当時の私は、まず続けることを優先しました。その判断が間違いだったとも思っていません。ただ、コアと同じやり方をサテライトにもそのまま当てはめたことについては、あまり考えていなかったな、と思います。
これから始める方がいたら、ここは一度立ち止まって考えてみてもいいところかもしれません。
まとめ:オルカン1本でも十分。味つけは"続けやすくする"ため
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
最初の問いに、あらためて答えるなら── 「オルカン1本でも十分だと私は考えています」。むしろ、迷うならそのほうがシンプルで続けやすい選択肢になりうると思います。
そのうえで、私がサテライトを少しだけ持っているのは、リターンを上げるためというより、「自分が投資を続けやすくするため」。配当という果実の実感が、長く持ち続ける支えになっているからです。
投資は数字の世界ですが、続けるのは人間です。合理的に見える方法でも、自分の心がついてこなければ、長く続けるのはむずかしい。だから私は、効率だけでなく、気持ちが折れにくい形も大事にしたいと思っています。
主役を淡々と。脇役は、ほんの少し。続けられる形こそ、自分にとっての強さになる。
もしサテライトを持つなら、「主役を崩さない」「少しだけ」という線引きだけは、忘れずに。買い方のほうは、さっき書いたとおり、私もまだ答えが出ていません。これが、私が今たどり着いているところです。
さて、ここまで「貯める→増やす」と歩いてきましたが、いよいよ次は、その先── 貯めて増やした資産を、どう使っていくか。次回は、出口戦略の代表的な考え方「4%ルール」と、私がどう向き合っているかをお話しする予定です。
サテライトに興味があるなら、まず「コアを何にするか」を先に決めてみてください。中心が固まっていれば、脇役は少額から試せます。順番を逆にしないことが、いちばんの安全策だと思います。
明日もまた、歩きながら考えます。
🚶 はいと
40代・4人家族のビジネスパーソン。
毎朝、歩きながらお金と人生のことを考えています。
※本記事で挙げた商品は、あくまで私が保有している一例であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。ETFの中身・分配金・課税の扱いなどは変更される場合があり、制度や条件によっても異なります。最新かつ正確な情報は、目論見書や各社・公的機関の公式情報でご確認ください。投資は元本割れのリスクを伴い、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
情報の出どころ
- Vanguard|Vanguard High Dividend Yield ETF(VYM)
- State Street|State Street SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF(SPYD)
- iShares|iShares Core High Dividend ETF(HDV)
- 金融庁|NISA特設ウェブサイト
- 国税庁|No.1240 居住者に係る外国税額控除
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