個別株、もうやめました。わが家が投資の“軸”をインデックスに移した理由
「インデックスもいいけど、個別株のほうが大きく儲かるんじゃない?」
「どの株を買えばいいのか、調べるのに疲れてきた……」
かつての私も、まさにそう思って個別株を買っていました。でも今は、投資の“軸”をインデックス投資に移しています。なぜ個別株をやめたのか。投資歴約7年のわが家の、正直な心境の変化をお話しします。
増やす力シリーズ、前回は『ほったらかし投資術』の書評をお届けしました。考え方の土台が整ったところで、今回からはいよいよ「では、具体的に何を買うのか」という銘柄の話に入っていきます。
その第一歩として、まずお伝えしたいのが、わが家が個別株をやめたという話です。
正直に告白すると、投資を始めた頃の私は、個別の会社の株を買っていました。「この会社は伸びそうだ」と自分なりに考えて、銘柄を選ぶ。あの頃は、それが投資だと思っていたのです。
でも今は、その手を止めました。手放すまでには、ずいぶん迷いました。育ち盛りの子どもがいて、これから先も長く付き合っていく、家族のお金です。「自分の目利きひとつで増やしたり減らしたりしていいのだろうか」── そんな落ち着かなさが、心のどこかにずっとあったのだと思います。今日は、その手を止めた理由をお話しします。
かつての私は、「勝ちにいく投資」をしていた
投資を始めたばかりの頃は、誰でもそうかもしれません。私も、「どうせやるなら、大きく儲けたい」という気持ちがありました。
ニュースや決算を眺めて、「この会社は来そうだ」と当たりをつけて買う。株価が上がれば嬉しいし、下がれば「次は当てよう」と意気込む。いわば、自分の目利きで市場に勝ちにいく投資です。
それ自体が悪いわけではありません。実際、当たって嬉しかったこともありました。ただ、続けるうちに、だんだんと「これは、自分には向いていないかもしれない」と感じるようになっていったのです。
個別株をやめた、3つの理由
なぜ手を止めたのか。振り返ると、理由は大きく3つありました。
1「当て続ける」のは、プロでも難しいと知ったから
いちばん大きかったのは、本から学んだことでした。『敗者のゲーム』や『ほったらかし投資術』が、繰り返し教えてくれたこと。それは、市場平均に勝ち続けるのは、プロの運用者でさえ至難の業だという事実です。
豊富な情報と時間を持つプロでも難しいことを、本業を別に持つ私が、片手間で当て続けられるはずがない。そう気づいたとき、肩の力がすっと抜けました。「勝とうとしないほうが、結局うまくいく」── この考え方が、腑に落ちたのです。
2値動きが気になって、心が消耗していたから
個別株を持っていた頃は、とにかく値動きが気になって仕方がありませんでした。
一つの会社に集中して投資していると、その会社の株価やニュース一つで、資産が大きく揺れます。上がれば舞い上がり、下がれば落ち込む。平日でも、休憩や昼休みなどに、つい株価をチェックしてしまう。今思えば、心がずいぶん消耗していたのだと思います。
株価が下がった日は、家に帰ってからも、気持ちのどこかが値動きに引っぱられていました。暮らしを豊かにしたくて始めたはずの投資に、逆に気持ちを持っていかれている。そのことに気づいて、少し立ち止まりました。
3調べる時間が、家族の時間を削っていたから
そしてもう一つ。銘柄を選ぶには、決算を読んだり、業界を調べたりと、それなりの時間がかかります。
平日は仕事、休日は家族と過ごしたい。そんな私にとって、投資の調べものに使う時間は、じわじわと家族の時間を削っていました。「この時間、本当に投資のために使うべきなんだろうか」── そう自問したことが、何度もあります。
勝ち続けられない。心がすり減る。時間も奪われる。三拍子そろって、「これは、続ける道じゃないな」と思うようになりました。
個別株の頃・見直したとき・今を並べる
振り返ってみると、変わったのは商品だけではありません。投資に使う時間と、判断の基準そのものが変わっていました。
| 段階 | 実際にしていたこと | そのときの判断・変化 |
|---|---|---|
| 個別株を持っていた頃 | ニュースや決算を読み、休憩や昼休みに株価を確認 | 値動きで気持ちが揺れ、調べる時間が家族との時間にも入り込んでいた |
| 見直したとき | 『敗者のゲーム』『ほったらかし投資術』を読み、市場平均に勝ち続ける難しさを知る | 「当てること」より、本業と家族の時間を守りながら続けられることを優先した |
| 現在 | コアは全世界株インデックス。米国高配当ETFはサテライトとして少額保有 | 個別企業を選び直す必要が減り、複数回の下落局面でも狼狽売りせず積み立てを続けている |
金額の勝ち負けだけを比べると、この見直しの意味を取りこぼしてしまいます。私にとって大きかったのは、昼休みの確認や帰宅後の落ち着かなさが減り、投資を生活の中心に置かなくてよくなったことでした。
インデックス投資に「軸」を移して、ラクになった
そこでわが家は、投資の軸(コア)を、個別株からインデックス投資へと移しました。
「市場まるごと」を買うという安心感
インデックス投資とは、ざっくり言えば、市場全体を“まるごと”買うような投資です。一つの会社に賭けるのではなく、世界中の何千もの企業に、まとめて少しずつ投資する。
だから、どこか一社が躓いても、全体で見れば影響を分散しやすくなります。「次はどの株を当てよう」と頭を悩ませる必要もありません。世界経済の成長に期待しながら、広く分散して持つ。この安心感は、個別株では得られなかったものでした。
夜、スマホを閉じても、そわそわしなくなりました。自分が眠っているあいだも、世界中の会社が少しずつ働いてくれている。そう思えるだけで、お金との距離が、ふっと穏やかになったのです。相場を追いかけるのをやめたぶん、朝の歩く時間に考えることも、「今日の株価」から「これからどう暮らしたいか」へと、少しずつ変わっていきました。
コアはインデックス、サテライトは“ほんの少し”
とはいえ、わが家のインデックス投資は、全世界株“一本”というわけではありません。
資産の大部分(コア)は、全世界株のインデックスファンド。そのうえで、ごく一部だけ、サテライト(脇役)として米国高配当ETFも持っています。あくまで主役は全世界株、味つけはほんの少し。このバランスが、今のわが家にはしっくりきています(このサテライトの考え方は、シリーズ後半で改めて詳しくお話しします)。
大事なのは、「軸」をどこに置くか。わが家は、その軸をインデックス投資に定めたことで、心も時間も、ぐっとラクになりました。
それでも、「個別株が悪い」わけではない
ここまで読むと、「個別株はダメなんだ」と聞こえるかもしれません。でも、そうではありません。
企業を調べるのが好きで、その時間を楽しめる人。値動きに一喜一憂せず、長く付き合える人。そういう人にとっては、個別株は立派な選択肢です。応援したい企業に投資する、という喜びもあります。
ただ、私のように「時間がない」「値動きで消耗する」タイプには、向いていなかった。それだけのことです。投資に唯一の正解はありません。大事なのは、自分の性格と生活に、合うやり方を選ぶこと。わが家にとっては、それがインデックスを軸にする道でした。
まとめ:勝ちにいくより、乗っかるほうが、私には合っていた
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
個別株からインデックス投資へ。わが家の歩みを振り返ると、それは「勝ちにいく投資」から「市場に乗っかる投資」への切り替えでした。
勝とうとして消耗するより、世界経済の成長に期待しながら、広く分散して持つ。忙しい40代の私には、そのほうがずっと合っていました。軸をインデックスに定めたことで、投資はうんと静かに、穏やかになりました。日々の値動きに振り回されず、家族との時間も守れる。これこそ、私が求めていた投資の形でした。
株価に一喜一憂していた頃より、目の前のことに気持ちを向けやすくなった気がします。迷ったときに戻ってこられる、静かな場所ができた。個別株をやめて得たものは、数字よりも、その安心感だったのかもしれません。
さて、「インデックスを軸にする」と決めると、次に必ず出てくる疑問があります。それは、「全世界株か、それとも米国株(S&P500)か?」という、永遠のテーマ。次の記事では、わが家がどう考えたのかをお話しします。
もし個別株選びに疲れているなら、資産の“軸”を全世界株のインデックス一本に置いてみる、という形を一度検討してみるのもおすすめです。すべてを手放す必要はありません。コアを決めるだけで、日々の値動きとの距離が、ずいぶん穏やかになります。
明日もまた、歩きながら考えます。
はいと
40代・4人家族のビジネスパーソン。
毎朝、歩きながらお金と人生のことを考えています。
※本記事は、筆者(はいと)の実体験にもとづく考え方を紹介したものです。本文で触れる資産配分は執筆時点のものであり、特定商品の推奨ではありません。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
情報の出どころ
- チャールズ・エリス『敗者のゲーム』── 市場平均に勝ち続ける難しさ、低コスト・長期投資の考え方の参考
- 山崎元・水瀬ケンイチ『ほったらかし投資術』(朝日新書、2022年の全面改訂版)── インデックス投資・資産配分の考え方の参考
- 金融庁|NISA特設ウェブサイト
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