企業型DCはやるべき? 預金のまま放置せず、インデックスを選ぶ理由
「会社の企業型DC、入ってはいるけど中身はよく分からない」
「ほったらかしのまま、何年も経ってしまった」
会社員に用意されることがある、老後資金のための器。それが「企業型DC(企業型確定拠出年金)」です。でも、せっかくの制度を"ひとまかせ"にしたままだと、自分に合う運用になっているか分かりません。投資歴約7年・40代の私が、この企業型DCとどう向き合っているのかを、正直にお話しします。
増やす力シリーズも、いよいよ「応用・出口」のステップに入ります。
前回の書評『マネーの公理』では「リスクと意思」の話をしましたが、今回は身近なテーマ。会社員なら一度は耳にする、企業型DCです。
企業型DCって、そもそも何?
企業型DC(企業型確定拠出年金)は、ひとことで言えば、会社が掛金を拠出し、その運用商品を加入者自身が選ぶ老後資金づくりの制度です。
ポイントは、ここです。
- 掛金を出すのは、会社(制度設計によって扱いは異なります)
- どの商品で運用するかを決めるのは、自分
- 受け取れるのは、原則60歳以降
似た名前の制度に、個人で加入するiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。「自分で加入して、自分で掛金を出す」のがiDeCo、「会社の制度として用意され、会社が掛金を出す」のが企業型DC、というのが大きな違いです。iDeCo(個人型)については、次回くわしくお話しする予定なので、今回は企業型DCに絞って書いていきます。
大事なのは、運用商品を選ぶのは、ほかでもない自分自身だということ。ここを知らないままだと、せっかくの器を活かしきれません。
その企業型DC、"預金のまま"になっていませんか?
企業型DCには、たいてい複数の運用商品が用意されています。ざっくり分けると、元本確保型(定期預金や保険など)と、投資信託(国内外の株式・債券など)です。
ここで、ひとつ知っておきたいことがあります。会社や制度の設定によっては、自分で商品を選んだつもりがなくても、初期設定(デフォルト)や以前選んだ商品のままになっていることがあります。
つまり、「選んでいない」つもりでも、実は何かの商品を選んだ状態になっているケースがあるのです。
もちろん、元本確保型が悪いわけではありません。ただ、低金利の環境では、長い時間をかけても資産は増えにくくなります。何十年と運用できる老後資金を、自分で確認しないまま置いておくのは、少しもったいない。
「入っているから大丈夫」ではなく、「何で運用しているか」を一度は確認してみる。それだけでも、未来は変わってくるかもしれません。
私が選んでいるもの
では、私は企業型DCで何を選んでいるのか。
答えはシンプルで、外国株・全世界株のインデックスファンドを中心に選んでいます。
これは、私の投資のコアであるオルカン(全世界株インデックス)と、かなり近い考え方です。世界中の企業に広く分散して、長い時間をかけて世界経済の成長に期待する。新NISAでやっていることを、企業型DCという器のなかでも、同じ方向で続けているだけです。
器(制度)が変わっても、自分の投資の軸はぶらさない。私にとって企業型DCは、特別な必殺技ではなく、「もうひとつのインデックス積立の場所」という位置づけです。
やるべきか? 私が"ひとまかせ"にしない理由
「企業型DCって、結局やったほうがいいの?」── そう聞かれたら、私の答えは、「制度が用意されているなら、まず中身を確認したい」です。理由は、大きく3つあります。
1掛金は、会社が出してくれる
いちばん大きいのは、これです。企業型DCの基本は、会社が掛金を拠出すること。自分で毎月振り込む投資とは違う形で、老後資金の運用が始まります。用意されている器なら、まずは中身を確認する。それだけで一歩前に進めます。
2税制のメリットがある
企業型DCの運用益は、運用中は非課税とされています。通常、投資で得た利益には税金がかかりますが、その分を運用に回し続けられるのは、長い時間で見ると意味があります。受け取るときにも、公的年金等控除や退職所得控除などの扱いがあります(詳しい制度は、ご自身の会社の規定や公的な情報で確認してみてください)。
3「ほったらかし長期投資」と相性がいい
企業型DCは、毎月自動で積み立てられ、原則60歳まで引き出せません。一見すると不便ですが、長期でコツコツ続ける投資には、むしろ好都合です。
途中で引き出せないからこそ、暴落が来ても、慌てて売ることで生活費に戻す、という動きは取りにくくなります。これは不便さでもありますが、感情で動きすぎないための仕組みとして働く面もあります。
ただし、60歳まで引き出せないという点は、メリットであると同時に、注意点でもあります。ここはのちほど、もう少し触れます。
マッチング拠出という、もうひとつの"上乗せ"
企業型DCには、会社が出してくれる掛金に、自分のお金を上乗せして拠出できる仕組みが用意されていることがあります。これをマッチング拠出といいます。
「会社の掛金だけでは、ちょっと物足りない」「もう少し、老後資金を増やしておきたい」── そんなときに、自分の意思で掛金を上積みできる制度です。
実は、私もこのマッチング拠出を活用しています。会社が出してくれる掛金に、自分の上乗せ分を加えて、新NISAとは別の財布で、老後資金をコツコツ積み増している。そんなイメージです。
マッチング拠出の、うれしいところは2つあります。
- 自分が上乗せした掛金は、所得控除の対象になる。新NISAにはない、課税所得を抑えられる仕組みがあります。
- 給与天引きの感覚で、無理なく自動で積み立てられる。意識しなくても続くので、ほったらかし投資とも好相性です。
もちろん、ルールもあります(細かな上限は会社の制度によって異なるため、ここでは断定を避けます)。
- 以前は「自分の上乗せ分は、会社の掛金を超えられない」という決まりがありましたが、2026年4月にこの上限は撤廃されました。いまは会社の規約が認めていれば、会社の掛金を超えて上乗せすることもできます。
- ただし、会社の掛金と合わせた合計の上限は変わらずあります。どこまで出せるかは、お勤め先の規約で確認してみてください。
- そして、企業型DCで加入者掛金(マッチング拠出)を出している場合、iDeCo(個人型)との併用はできません。2022年10月の改正で企業型DCとiDeCoの併用そのものは可能になりましたが、マッチング拠出を選んでいる人は、どちらかを選ぶ形になります。ここは、私がどう考えているかも含めて、次回のiDeCo編でお話しする予定です。
会社が掛金を出してくれて、さらに自分でも上乗せできる。制度の条件と自分の家計に合う範囲なら、前向きに検討したい── これが、私がマッチング拠出を選んでいる理由です。
企業型DCで、私が意識していること
実際に運用するうえで、私が気をつけていることを、いくつか挙げておきます。
- デフォルトのまま放置しない。まずは「いま何で運用しているか」を確認する。
- インデックスファンドを中心に選ぶ。広く分散された、長期向きの商品を軸にする。
- 手数料(信託報酬)を見る。同じような中身なら、コストの差は長期で効いてきます。
- 年に一度くらい、状況を確認する。毎日見る必要はないけれど、放置しっぱなしにもしない。
そして、もうひとつ大事にしているのが、新NISAとの役割分担です。
- 企業型DC=原則60歳まで引き出せない「老後資金」。動かせないからこそ、どっしり長期で。
- 新NISA=必要に応じて売却できる「柔軟なお金」。教育費やいざというときにも対応しやすい。
同じインデックス投資でも、「引き出しやすい/引き出しにくい」で役割を分けて考える。これが、私の整理のしかたです。
注意したいこと
最後に、企業型DCの"注意点"も正直に書いておきます。いいことばかりではありません。
- 原則60歳まで引き出せない。だからこそ、生活に必要なお金まで入れてはいけません。投資に回すお金とは別に生活防衛資金を確保し、すぐ使うお金は別に置いておくことが大前提です。
- 転職・退職のときは、手続きが必要。そのままにしておくと不利になることもあるので、移し替え(移換)の手続きは忘れずに。
- 選べる商品は、会社によって違う。良いインデックスファンドがあるとは限りません。用意されたラインナップのなかから、ベターな選択をすることになります。
こうした制約を理解したうえで、引き出しにくいお金(DC)と、動かしやすいお金(NISA・預貯金)のバランスを取る。そこを押さえておけば、企業型DCは老後資金づくりの有力な選択肢になります。
まとめ:放置せず、自分で選ぶ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
企業型DCは、会社員に用意されることがある、老後資金の器です。会社が掛金を拠出し、運用益は運用中非課税で、長期投資とも相性があります。
それなのに、初期設定のまま放置されて、力を発揮できていないことが少なくありません。
「入っているかどうか」ではなく、「何で運用しているか」。そこを、自分で選ぶ。
私がしているのは、難しいことではありません。新NISAと同じ方向で、外国株インデックスを軸にコツコツ続けているだけ。器が変わっても、軸はぶらさない。それだけです。
次回は、企業型DCと名前の似た、iDeCo(個人型確定拠出年金)を、私がどう考えているかをお話しする予定です。
お勤め先に企業型DCがあるなら、いま自分が何をいくら買っているか、一度ログインして確認してみてください。初期設定の元本確保型のまま、という方は意外と多いものです。まず現状を知るところからで十分です。
明日もまた、歩きながら考えます。
🚶 はいと
40代・4人家族のビジネスパーソン。
毎朝、歩きながらお金と人生のことを考えています。
※本記事は筆者自身の経験と考えをまとめたものです。制度の詳細は変更される場合があるため、最新情報はご自身でご確認ください。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
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