iDeCoはどうする? 企業型DCのマッチング拠出を使う私が、いま使わない理由
「老後資金といえばiDeCo、ってよく聞くけど、自分もやるべき?」
「企業型DCをやっていれば、iDeCoはいらないの?」
掛金が所得控除の対象になる、老後資金づくりの制度。それがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。でも、投資歴約7年・40代の私は、いまのところiDeCoを使っていません。なぜ使わないのか、そして「どんな人に向いていそうか」を、公式情報を確認しながら正直にお話しします。
増やす力シリーズの「応用・出口」ステップ、2本目です。
前回の企業型DCの記事で、企業型DCで加入者掛金(マッチング拠出)を出している場合、iDeCoとの併用はできないと書きました。今回はその"続き"。私がなぜマッチング拠出のほうを選んでいるのか、というところから話を始めます。
iDeCoって、そもそも何?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、ひとことで言えば、自分で加入して、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選ぶ、老後資金づくりの制度です。
前回お話しした企業型DCと、仕組みはよく似ています。違いは「誰が始めて、誰が掛金を出すか」です。
- iDeCo=自分で申し込み、自分で掛金を出す
- 企業型DC=会社の制度として用意され、掛金は会社が出す
そしてiDeCoの特徴は、税制上の優遇が用意されていることです。
- 掛けたお金(掛金)が、全額所得控除になる
- 運用で出た利益は、非課税で再投資される
- 受け取るときにも、一定の控除がある
なかでも「掛金が全額所得控除」というのは、新NISAにはない大きな特徴です。課税所得がある人にとっては、所得税・住民税の負担を抑える効果が期待できます。これがiDeCoの、いちばん語られるポイントです。
私が、iDeCoを使わずマッチング拠出を選んでいる理由
魅力のあるiDeCo。でも、私はいまのところ使っていません。理由はシンプルで、会社の企業型DCで、すでにマッチング拠出を使っているからです。
iDeCo公式サイトでも、企業型DCの事業主掛金に上乗せしてマッチング拠出をしている人は、iDeCoの加入対象にならないと説明されています。つまり私の場合、マッチング拠出を続けるなら、iDeCoは使わないという整理になります。
そのうえで、私がマッチング拠出のほうを選んだのは、こんな理由からでした。
- 給与天引きで、手続きがシンプル。新たに金融機関を探したり、口座を開いたりする手間がない。
- 会社の制度のなかで完結するので、管理がひとつにまとまる。
- マッチング拠出でも、自分の上乗せ分は所得控除の対象。税制上のメリットも期待できる。
しかも、マッチング拠出は前回書いたとおり、2026年4月に「自分の上乗せ分は会社の掛金を超えられない」という上限が撤廃されました。会社の規約が認めていれば、以前より多く積み増せることになります。私の場合、いまの形を見直す理由は、当面なさそうです。
「iDeCoが悪いから選ばなかった」のではありません。私の環境では、マッチング拠出のほうがシンプルで合っていた。ただ、それだけのことです。
大事なのは、制度の優劣ではなく、「自分の環境にどちらが合うか」。
なお、企業型DC加入者でもiDeCoに加入できる場合はあります。ただし、マッチング拠出の有無や会社の拠出方法などで扱いが変わります。最新のルールは、ご自身の会社の規定や公的な情報で確認してみてください。
iDeCoが向いているのは、どんな人?
ここからは、私の体験ではなく、公式情報を確認したうえでの一般論としてお話しします。iDeCoが合いやすいのは、こんな人たちだと考えています。
- 自営業・フリーランスの人。会社員のような企業年金がなく、公的年金も国民年金が中心。だからこそ、自分で上乗せできるiDeCoの意義が大きいとされます(掛金の上限も加入区分によって異なります)。
- 勤め先に、企業型DCがない会社員。会社の制度で老後資金を積み立てる仕組みがないぶん、iDeCoが有力な選択肢になります。
- 専業主婦(主夫)など。所得控除の効果は本人の課税所得によって変わりますが、運用益非課税などの特徴はあります。
逆に、私のように企業型DC+マッチング拠出を活用できている会社員は、まずそちらを確認するという考え方も成り立ちます。
つまりiDeCoは、「自分の老後資金の器が、ほかにあるかどうか」で、必要度が変わる制度なのです。
iDeCoの特徴(新NISAとの違い)
iDeCoを語るうえで外せないのが、新NISAとの違いです。どちらも老後やこの先に向けた、税制優遇のある制度ですが、性格はけっこう違います。
- iDeCo=掛金が所得控除になる。そのかわり、原則60歳まで引き出せない。
- 新NISA=掛金の所得控除はない。そのかわり、必要に応じて売却しやすい。
ここがいちばんの分かれ目です。iDeCoは所得控除のメリットがある一方で、そのお金は原則60歳まで動かせない。新NISAは掛金の所得控除こそありませんが、必要に応じて売却しやすい。
教育費やいざというときに備えたいお金は、売却しやすい新NISAや預貯金で。老後まで触らないと決めたお金は、iDeCoや企業型DCで。そんなふうに、「動かしやすい/動かしにくい」で役割を分けて考えるのが、私の整理のしかたです。
知っておきたい、iDeCoの注意点
メリットの大きいiDeCoですが、始める前に知っておきたい点もあります。ここも正直に挙げておきます。
- 原則60歳まで引き出せない。これは企業型DCと同じ。生活に必要なお金を入れるのは避けたいところです。投資に回すお金とは別に生活防衛資金を確保しておくのが大前提。
- 口座を管理する手数料がかかる。金融機関によって差があるので、ここはよく比べたいところ。
- 金融機関も、運用商品も、自分で選ぶ。企業型DCと違って、入り口から自分で動く必要があります。手間はかかりますが、その分、選択肢も自分で比べられます。
- 掛けられる上限は、人によって違う。自営業か会社員か、企業年金があるかどうかなどで変わります。
どれも「だから使えない」という話ではなく、仕組みを理解したうえで付き合う必要があるものばかり。とくに「原則60歳まで引き出せない」という性質だけは、最初にしっかり腹落ちさせておきたいところです。
なお、iDeCoは2026年12月に制度が変わる予定です。加入できる年齢が65歳未満から70歳未満へ広がり、掛けられる上限額も引き上げられます。ただし、マッチング拠出をしている人はiDeCoに加入できないという点は、改正後も変わりません。これから検討する方は、最新の内容を公式サイトで確認してみてください。
iDeCoと新NISA、どっちから?
「iDeCoと新NISA、結局どっちから始めればいいの?」── これもよく聞かれる問いだと思います。
正解はひとつではありませんが、私は「まずは、必要に応じて売却しやすい新NISAから」だと考えています。これから教育費などライフイベントが控えている世代にとって、お金を動かしやすい柔軟さは、それ自体が大きな安心になるからです。
そのうえで、
- 自営業で、ほかに老後資金の器が少ない → iDeCoを検討する余地が大きい
- 会社員で、企業型DC(+マッチング拠出)を使える → まず勤務先の制度を確認する
というように、自分の置かれた環境で考えるのがいちばんです。
私の場合は、新NISAをコアに据えつつ、企業型DCのマッチング拠出で老後資金を積み増している。だから今は、iDeCoまで手を広げていません。でもこれは、私の答えであって、誰にでも当てはまるものではありません。
まとめ:制度ではなく、自分の器から考える
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
iDeCoは、掛金が全額所得控除になる制度です。それでも私が使っていないのは、企業型DCのマッチング拠出という、自分に合った器がすでにあったから。ただ、それだけの理由です。
「みんながやっているから」ではなく、「自分の環境に合うから」。そこで選ぶ。
自営業の人や、企業型DCのない会社員にとっては、iDeCoが有力な選択肢になることがあります。逆に、企業型DCを活かせる人は、まず勤務先の制度を確認する。大事なのは、自分にどんな「器」が用意されているかを知り、合うものから順番に検討していくことだと思います。
次回は、ずっと向き合ってきたテーマ、子どもの教育費について書く予定です。
iDeCoが気になっているなら、まずは自分が加入できるか、そして毎月いくらまで出せるかを確認してみてはいかがでしょうか。公式サイトの簡単な診断で分かります。急いで始めなくても、選択肢を知っておくだけで判断がしやすくなります。
明日もまた、歩きながら考えます。
🚶 はいと
40代・4人家族のビジネスパーソン。
毎朝、歩きながらお金と人生のことを考えています。
※本記事は筆者自身の経験と、公開情報をもとにまとめたものです。iDeCo・企業型DCの制度内容や上限額、手数料は変更される場合があり、加入区分によっても異なります。最新かつ正確な情報は、公的機関や各金融機関の案内でご確認ください。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
情報の出どころ
- iDeCo公式サイト|iDeCoの特徴
- iDeCo公式サイト|iDeCoのメリット
- iDeCo公式サイト|iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等
- 厚生労働省|確定拠出年金制度の概要
- 金融庁|NISA特設ウェブサイト
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