節約しても削らない支出4選|お金を使えない40代が先に決めたこと

フランスの村を思わせる川越しの小さな店先と家並みを描いた風景イラスト
「貯まってきたはずなのに、なぜか使えない」

お金を使うのが苦手な私も、教育と家族旅行には使えています。健康と、夫婦それぞれのお小遣いも同じです。

家計を見直すときに、この4つは「削らない」と決めていたからです。ただ節約するより、何のためなら使いたいかを先に決める。わが家で試してきた考え方を書きます。

貯めるのが得意になるほど、使うのが下手になっていく

固定費を見直して、年68万円を削りました。世帯で月30万円を積み立てる家計も作りました。数字の上では、うまくいっている部類だと思います。

ただ、その過程で、お金が減ることへの過剰な敏感さも身についていました。

資産の数字が増えていくのは、率直に気持ちがいい。逆に、減るのは落ち着かない。だから、迷ったときの初期設定が「とりあえず、やめておこう」に寄っていきます。それが節約として働くうちはいいのですが、あるときふと思いました。

これ、いつまで続けるんだろう。

必要資金を試算した記事で、サイドFIREのゴールを7,500万円と置きました。でも、7,500万円はゴールであってご褒美ではありません。到達したその日に、急に上手にお金を使える人間へ変われるとは思えないんですね。

貯める技術だけを磨き続けると、資産形成そのものが目的にすり替わる。数字を増やすのが楽しくなって、何のために増やしていたのかが、後ろへ下がっていく。

節約も投資も、本当は手段のはずでした。そこを取り違えたまま2033年まで走ると、ゴールに立ったときに困るのは自分。


ただ、まったく使えないわけではなかった

一方で、迷わずに使える支出もあります。

家計を見直したときに決めて、積立額を決めるときにあらためて確認した「これは削らない」支出が、4つあります。

  • 教育
  • 家族旅行
  • 健康
  • 夫婦それぞれの、お小遣い

削らないと決めた支出には、ためらいがありません。旅行の予算を前にして「もう少し安いプランは」と粘ることはしませんし、ランニングシューズも、傷んできたら買い替えます。そこをケチって足を痛めたら、健康への支出そのものが台なしになるので。子どもの学びにかかるお金も、削るところではないと考えています。

同じ財布から出ていく、同じお金。それなのに、片方には手が止まって、片方には迷いがない。この差はどこから来ているんだろうと、歩きながら考えていました。


違いは「先に決めてあるかどうか」だった

考えてみると、違いは先に決めてあるかどうか。それだけでした。

削らない4つは、家計を見直した時点で「ここは守る」と決めてありました。だから、その場で判断する必要がない。決めた通りに使えばいいだけなので、迷いが生まれる隙がないんですね。

一方、決めていない支出は、毎回その場で天秤にかけることになります。天秤にかけている限り、貯める習慣が身についた人ほど「使わない」側に傾く。当然といえば当然でした。

投資でも、同じことを経験しました。

暴落のときに売らずに済んだ話を以前書きました。あのとき支えになったのは、強い意志ではありません。穏やかなうちに「自分の航路を守る」と決めておいたことでした。恐怖のさなかで正しく判断するのは難しい。だから、判断そのものを前倒ししておく。

使うときも、同じでした。使う力とは、我慢をやめる力ではなく、決めておく力なのだと思います。


経験にお金を使うには、「旬」がある

フランスの村を思わせる季節の花が咲く小さな公園の小道を描いた風景イラスト

もうひとつ、考えを変えるきっかけになった本があります。ビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO』。

この本の主張には、強く共感しました。なかでも響いたのが、経験にお金を使うタイミングには旬があるという指摘。

同じ金額を同じことに使っても、得られるものは年齢によって変わる。体力があるうちにしかできない旅がありますし、子どもが一緒に来てくれる時期にも限りがあります。お金は後から取り戻せても、その時期は取り戻せない。

うちの子どもたちも、いつまで家族旅行についてきてくれるか分かりません。「もう少し資産が増えてから」と先送りして、行けるはずだった時期を逃したら。増えた数字は、その埋め合わせにならないはずです。

とはいえ、本当に資産ゼロで死ぬ設計にするかというと、そこまでは振り切れていません。家族がいますし、想定外のことも起こります。共感はしていても、そのまま実践しているわけではありません。その距離感は、あとで書評として、一本じっくり書きます。


私が「使う力」で大切にしている5つの考え方

これから使う力を育てていくうえで、いま大事にしている軸を、5つにまとめておきます。

1削らないものを、先に決めておく

その場で決めようとするから迷います。穏やかなうちに「ここは守る」と決めておけば、使うときに悩まなくて済みます。

2経験には「旬」がある

同じ体験でも、できる時期は限られています。行けるうちに行く、やれるうちにやる。先送りのコストを、金額だけで測らないようにしたいと思っています。

3健康と時間には、ためらわない

毎朝歩き、週末に走る。睡眠を7時間確保し、年に一度は健康診断を受ける。ここへのお金と時間は、いちばん効率のいい使い道だと考えています。健康を損なえば、資産計画そのものが崩れるので。

4使う前に、積立を済ませておく

家計の優先順位は、この順番です。

  • ①新NISA等へ年360万円
  • ②現金を年80〜90万円
  • ③残りを外食や旅行へ

先に将来のぶんを終わらせてあるから、残りは気兼ねなく使える。順番が逆だと、使うたびに罪悪感がついてきます。

5使う力にも、練習がいる

積立を続けて慣れたように、使うことにも慣れが要るのだと思います。苦手なままゴールに着いても、たぶん使えません。いまのうちから、少しずつ。


「使う力」シリーズの歩き方

このシリーズではこれから、お金の使い方について考えてきたことを、ひとつずつ書いていきます。予定しているのは、こんなテーマ。

  • 経験にお金を使う(「思い出の配当」という考え方)
  • ふるさと納税(毎年利用している立場からの、選び方と使い方)
  • 子どもへのお金の教育(何を、いつから伝えるか)
  • 時間と健康を買う(40代の「消耗しない」お金の使い方)
  • 『DIE WITH ZERO』の書評(強く共感した部分と、そうでない部分)
  • 使う力の総まとめ

貯める・増やす・稼ぐと歩いてきて、ようやく「その先」の話に入ります。


まとめ:使い道は、先に決めておく

使えないのは、使い道を先に決めていないから。削らないものを先に決めれば、迷わず使えます。

貯める力、増やす力、稼ぐ力。この3つを続けてきて、どれも上達するほど、目的を忘れやすくなると分かりました。数字は分かりやすく、比べやすく、増えると嬉しい。だからつい、数字を追うこと自体が目的になっていきます。

でも、7,500万円という数字は目的ではなく、家族と過ごす時間や心地よい暮らしを手に入れるための「手段」でした。そこを忘れたまま到達しても、たぶん同じ悩みが待っているだけです。

いま40代で、仕事の責任もいちばん重い時期にいます。家族がそろう時間は、思うようには取れません。それでも、夕食と送迎、そして家族旅行だけは削らずにいたい。将来の自由のために、いまの暮らしを全部あと回しにはしない。そのバランスの取り方を、これから一本ずつ考えていきます。

貯める → 増やす → 稼ぐ → そして、使う。4つ目の力は、いちばん苦手で、いちばん練習が必要な力かもしれません。

学びを、小さな一歩に

「これだけは削らない」と思える支出を、ひとつ書き出してみてください。金額は決めなくてかまいません。決めてある支出が一つあるだけで、使うときの迷いは減ります。

明日もまた、歩きながら考えます。


はいと はいと
40代・4人家族の会社員。
お金の知識がなかった、あの頃の自分に向けて書いています。プロフィール | はじめての方へ
Xでも発信しています(@arukikangae)

※本記事は、私たちの経験にもとづく考え方をまとめたものです。お金の使い方に唯一の正解はなく、必要な支出や優先順位はご家庭ごとに異なります。ご自身の状況に合わせてご判断ください。


情報の出どころ

  • ビル・パーキンス『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(児島修 訳)ダイヤモンド社 ── 経験にお金を使うタイミングについて、考え方の土台にしています。詳しい感想は、このシリーズの書評記事であらためて書きます。
  • サイドFIRE目標7,500万円の試算前提は、「結局いくら貯めれば?」で整理しています。
  • 「削らないと決めている支出」の詳細は、家計見直しの記事に書いています。

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