『LIFE SHIFT』書評|40代からの働き方を考え直した一冊

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ポルトガルの街を思わせる窓越しの屋根並みと遠くの川を描いた風景イラスト
「定年まで働いて、引退して年金で暮らす。その人生設計で、本当に大丈夫?」

「学んで、働いて、引退する」という人生の順番。『LIFE SHIFT』は、その順番だけにとらわれず、長い人生で働き方や学び方を選び直すことを考える本です。読んで特に心に残ったのは、「老い」の捉え方が変わり、昔の人生モデルをそのまま使えなくなるという話。夫婦ともに仕事を持つ意味もあらためて考え、自分のこれからと重ねながら、時間をかけて読みました。

「教育 → 仕事 → 引退」の3ステージが、もう前提でなくなる

私がこの本を読んだのは、2年ほど前。分厚い本なので、まだ一度だけです。

いちばん心に残ったのは、「老い」や「老いている」ということの意味が変わったという指摘でした。長く生きる時代には、過去の人生のモデルは、もはや役に立たない。私たちが当たり前だと思っていた人生のかたちが、変わりつつあるということです。

これまでの人生は、ざっくり言うと「学んで、働いて、引退する」という3つのステージで考えられてきました。でも、寿命が延びて人生が100年に近づくと、この一本道のモデルが立ち行かなくなる、と本書は指摘します。

長く生きるぶん、働く期間も長くなる。若いころに学んだことだけで、その後の何十年もやっていけるだろうか。「一度学んで終わり」では足りない。 読んでいて、漠然と感じていた不安が、少し言葉になった気がしました。


これからは「マルチステージ」の人生

本書で出てくるのが、マルチステージ(学びや仕事など、いくつもの段階を経験する人生)という考え方です。

ひとつの会社で働き続けて、そのまま引退するとは限りません。途中で学び直したり、仕事を変えたり、いくつかの活動を組み合わせたりする。働きながら学ぶ時期もあれば、複数の収入源を持つ時期もある。そんなふうに、人生の段階を選び直していく考え方です。

私自身は、いまの本業と副業、そして将来のサイドFIREという働き方にも重ねて考えています。ひとつの仕事を続けるか、完全に引退するか。その二つだけでなく、働き方を変えながら続ける道もあるということです。


お金以外にも、長い人生を支えるものがある

ポルトガルを思わせる木陰の庭と小道を描いた風景イラスト

もうひとつ印象に残ったのが、無形資産(お金に換算しにくい、知識や健康、人とのつながりなど)という考え方です。

資産というと、貯金や投資を思い浮かべるかもしれません。でも、長く働き、暮らしていくには、お金以外にも必要なものがあります。本書の説明をもとに、身近な言葉でまとめると、こんなものです。

  • スキルや知識、人とのつながり── 稼ぐ力の源になる
  • 健康や、家族・友人との関係── 日々を支える土台になる
  • 変化に対応し、学び直していく力── 新しいステージへ移る助けになる

お金を貯めるだけでなく、健康や、学び続ける力、人とのつながりも大切にする。資産を「お金」だけで考えていた自分には、この視点が響きました。


夫婦ともに働くことの意味を、あらためて考えた

この本を読んで、もうひとつあらためて認識したのが、パートナーの両方が職を持つメリットです。

長い人生では、どちらかが学び直したり、働き方を変えたりする時期もあるはずです。夫婦それぞれに仕事があれば、そんなときも支え合いやすくなる。わが家も共働きが本格化しているので、自分たちに重ねて考える話でした。

このブログで書いてきた稼ぐ力の話とも、つながるところがあります。副業を小さく試すのも、本業と向き合うのも、ひとつに依存しないため。そこで身についたスキルや経験は、収入とは別に、自分のなかに残っていきます。

『お金の大学』は、「5つの力」というお金の地図をくれました。『LIFE SHIFT』は、100年ライフをどう生きるかを考えさせてくれた本です。

お金を貯めるだけでなく、稼ぐ力・学ぶ力・つながりも育てていく。長い人生を、複数の柱で支える。

読み終えるまでに、時間がかかった

ピンと来なかったところは、あまりありません。ただ、読み終えるまでには時間がかかりました。

分厚い本ということもありますが、文章を追うだけでは終わりませんでした。自分の人生を振り返ったり、これからを想像したりしながら読んでいたからです。読むのに時間がかかったのは、自分のこととして考えていたから。 私にとっては、そういう一冊でした。

なので、「早く読み終えよう」と気負わなくて大丈夫だと思います。自分の人生と重ねながら、ゆっくり読むくらいの距離感で、ちょうどいい本です。


こんな人に合いそう

私の実感から、この本はこんな人に響くと思います。

  • 40代以降の、これからの働き方に漠然と不安がある人
  • ひとつの会社・収入に依存することに、心細さを感じている人
  • サイドFIREや、複数の柱で生きる発想に興味がある人

すぐに始められる副業の手順を知りたいなら、この本は少し違うかもしれません。具体的な稼ぎ方よりも、これから何十年をどう働き、どう暮らすか。一度立ち止まって考えたいときに、手に取る本だと思います。


まとめ:100年時代を、複数の柱で歩く

これからの人生は、一本道ではない。 『LIFE SHIFT』が私に教えてくれたのは、このことでした。

  • 「教育→仕事→引退」の3ステージは、前提でなくなりつつある
  • これからはマルチステージ。学び・仕事・複数の活動を行き来する
  • お金だけでなく、スキル・健康・つながり・変化する力という無形資産が大切になってくる

長く働くなら、自分はどんな仕事をして、どう暮らしたいか。『LIFE SHIFT』を読んでいる間は、自分の過去を振り返りながら、そんな未来のことも考えていました。

学びを、小さな一歩に

人生100年時代と言われてもピンとこないなら、「70歳の自分は何をしていたいか」を一行だけ書いてみてください。お金の計画も、そこから逆算すると考えやすくなります。

明日もまた、歩きながら考えます。


はいと はいと
40代・4人家族の会社員。
お金の知識がなかった、あの頃の自分に向けて書いています。

※本記事は、書籍の内容を、筆者(はいと)の解釈と実体験にもとづいて紹介したものです。要約や引用は最小限にとどめています。正確な内容は、書籍そのものをご確認ください。


情報の出どころ

  • リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)― 100年時代の人生戦略』(池村千秋 訳、東洋経済新報社、2016年)── 出版社の書籍紹介

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