本当に「ほったらかし」でいい? 『ほったらかし投資術』が忙しい40代の私に教えてくれたこと
「インデックス投資を始めたけど、これで本当に合ってるのかな?」
「忙しくて、投資にそんなに時間をかけられない……」
もし、そんな不安を抱えているなら。その背中を、そっと押してくれる一冊があります。山崎元さん・水瀬ケンイチさんの『ほったらかし投資術』です。この記事では、何度も読み返した私が、この本から受け取ったものを等身大でお伝えします。
増やす力シリーズ、前回までで新NISAの仕組みと証券口座の準備を終えました。いよいよ「何を、どう買って、どう持ち続けるか」に入る前に、わが家の投資の“背骨”になっている一冊を紹介させてください。
それが、『ほったらかし投資術』です。タイトルだけ見ると、なんだか手抜きのように聞こえるかもしれません。でも、この「ほったらかし」という考え方は、忙しい40代にとって、かなり相性のよい投資との付き合い方だと、私は実感しています。
まず結論:投資の考え方は、思ったよりシンプルだった
私がこの本を手に取ったのは、投資を始めてしばらく経ったころです。「このまま続けていいのか、もっと別のやり方があるのか」と、今後の方向性を見定めようとしていた時期でした。
きっかけは、YouTubeやSNSで、何人もの人がこの本を勧めているのを見たこと。「そんなにいいなら」と読んでみて、いい意味で拍子抜けしました。書かれていた答えが、驚くほどシンプルだったからです。
世界中に分散した、低コストのインデックスファンドを、毎月淡々と積み立てる。 まずはこの考え方を大切にする。
派手なテクニックや、相場を読む才能に頼りすぎない。無理のない範囲で、淡々と続けることを重視する ── 本書は、そう教えてくれます。
読み返すたびに発見がある
正直に言うと、私はこの本を一度読んで終わりにしませんでした。これまでに何度も読み返しています。
不思議なもので、読むたびに新しい気づきがあるのです。投資を続けてきて、自分の経験が増えたぶんだけ、同じ文章から受け取れるものが変わる。「あのとき不安だったのは、ここを理解できていなかったからか」と、後から腑に落ちることが何度もありました。
そしてもう一つ、この本を信頼できる大きな理由があります。それは、著者の水瀬ケンイチさんが、机上の空論ではなく、長年この方法を実践してきた個人投資家だということ。コツコツとインデックス投資を続けてきた実践者の言葉だからこそ、「自分にも取り入れられる部分がありそうだ」と感じられるのです。
評論ではなく、実体験。だからこそ、「自分にもできるかもしれない」と思えました。
この本で、私の投資はこう変わった
読む前と後で、いちばん変わったのは「投資との距離感」でした。
株価の確認頻度を減らした
それまでの私は、つい毎日のように株価や資産の合計額をチェックしていました。上がれば嬉しく、下がれば不安になる。その繰り返しです。
この本を読んで、私は毎日のようにチェックする習慣を見直し、確認頻度を減らすことを、より強く意識するようになりました。「歩んでいる道は正しいんだよ、安心して続けなさい」── そう背中を押してもらえた気がしたのです。チェックする回数が減るほど、心は穏やかになりました。
確認の間隔を空けてみると、気になっていたことが、不思議と気にならなくなる。手放してみて初めて、それまでずっと小さな緊張を抱えていたんだな、と気づきました。
浮いた時間を、家族と人生に回せるようになった
そして、これも大きな変化でした。銘柄を調べたり、相場を気にしたりする時間が、少しずつ要らなくなっていったのです。
アクティブな売買や個別株選びには進まず、インデックス投資への入金力を高めることに集中する。そう決めたら、これまで投資に向けていた時間や気持ちを、家族と過ごす時間、趣味を楽しむ時間、副業や学習に、少しずつ振り向けられるようになりました。平日は仕事で忙しく、家族との時間も大切にしたい40代の私には、とても合っている方法だと感じています。
「ほったらかし」は、手抜きではありません。人生のほかの大切なことに、時間とエネルギーを使うための戦略なのです。
下落時の判断を、言葉にしてくれた
投資を続けていれば、大きな下落に出くわすことがあります。私も、含み益が一気に溶けていく場面を、何度も経験しました。
ここは、正確にお伝えしておきたいことがあります。私が大きな下落でも積立を止めなかった経験のすべてが、この本を読んだ後のものではありません。コロナ禍の大きな下落に直面したときは、まだ本書を読んでいませんでした。不安はありましたが、「株式相場は長期的には成長する」と信じ、積立を続けました。
本書を読んだのは、その後です。私にとってこの本は、売らずに済ませてくれた魔法の一冊というより、それまで感覚的に選んでいた行動の理由を、言葉で整理してくれた一冊でした。特に響いたのは、次の4つです。
- 「許容できる損失」の範囲で投資する ── だから、下がっても致命傷にならない
- 投資の利益は「リスクを取ったご褒美(リスク・プレミアム)」である ── 値動きは、リターンの裏返し
- 「長期・分散・低コスト」が王道 ── 奇をてらわないことが、結局いちばん強い
- そして何より、投資は「止めないこと」がいちばん大事
「長期的な成長に期待しながら、分散して持ち続ける」という自分の判断を、本書の説明と照らし合わせて理解できるようになりました。何度か読み返すうちに、相場の動きを毎日追う必要はないと納得でき、株価の確認頻度も少しずつ減っていきました。
つまり、本書が過去の判断を生んだのではありません。続けてきた判断に根拠を与え、その後も迷いすぎずに積立を続けるための支えになった。これが、私の実感にいちばん近い表現です。
正直に言うと、ひとつだけ私には合わなかった点
ここまで絶賛してきましたが、フェアにお伝えするために、ひとつだけ。
本書では、無リスク資産として個人向け国債(変動金利型・10年満期)を勧めています。これはこれで、とても合理的な提案です。ただ、私自身は「インデックス投資+現金」というシンプルな構成のほうが、しっくりくると感じました。
これは優劣の話ではなく、自分の性格や生活に、どちらが合うかという相性の問題です。本に書かれたことを丸ごと真似るのではなく、「自分にはどこが合うか」を考えながら読む。それも、この本との良い付き合い方だと思っています。
こんな人に、特におすすめ
私の経験から、この本はこんな人にこそ読んでほしいです。
- 仕事で忙しく、家族との時間を確保したい人 ── 投資に手間をかけたくない人ほど報われます
- 理屈で腹落ちして、インデックス投資を続けたい人 ── なぜ続けるべきか、納得できます
- 投資をしたいけれど、何から始めればいいか分からない初心者 ── 最初の一冊として最適です
逆に、「短期間で大きく儲けたい」「相場を読む腕試しがしたい」という人には、たぶん物足りません。でも、コツコツ長く資産を育てたい人にとっては、投資との向き合い方を考える良い道しるべになるはずです。
まとめ:忙しい人にも、続けやすい形がある
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
『ほったらかし投資術』が教えてくれたのは、結局このひと言に尽きます。
難しいことを増やしすぎない。世界に分散した低コストの投信を、淡々と積み立て、あとは“ほったらかし”にする。 忙しい人にも、続けやすい形がある。
投資の正解を探して情報の海をさまよっていた私に、この本は「今のやり方を、なぜ続けるのか」を整理する機会をくれました。今では、わが家が積立を続ける理由を、言葉で確かめられる一冊になっています。
さて、考え方の土台はこれで整いました。次の記事からはいよいよ、「では、具体的に何を買うのか」という銘柄の話に入っていきます。個別株をやめて、投資の軸をインデックスに移した理由から、お話ししています。
もし毎月の買い付けを手動でしているなら、それを「自動積立」に切り替えてみてはいかがでしょうか。一度設定すれば、相場が上下しても、自分の手で決断しなくて済みます。“ほったらかし”は、なまけではなく、続けるための仕組みでした。
明日もまた、歩きながら考えます。
はいと
40代・4人家族のビジネスパーソン。
毎朝、歩きながらお金と人生のことを考えています。
※本記事は書籍の内容を、筆者(はいと)の解釈と実体験にもとづいて紹介したものです。要約や引用は最小限にとどめています。正確な内容は、ぜひ書籍そのものをお読みください。また、投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
情報の出どころ
- 山崎元・水瀬ケンイチ『ほったらかし投資術』(朝日新書、2022年の全面改訂版)── 本記事で紹介した書籍
- 金融庁|NISA特設ウェブサイト
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