相場は予測できる? 『ウォール街のランダム・ウォーカー』が40代の私に教えてくれたこと
執筆・確認:はいと|40代・4人家族の会社員。投資歴約7年、Webライターとして100本以上を執筆。
「チャートを読みこめば、相場の動きを当てられるんじゃないか?」
「プロに任せれば、市場平均よりもうかるはず」
そう思っていた時期が、私にもありました。その考えを、根っこから問い直してくれたのが、バートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー』です。この記事では、500ページ前後あるこの本を2回読んだ私が、本から受け取ったものを等身大でお伝えします。
増やす力シリーズでは、ここまで個別株をやめてインデックスに絞り、実際に積み立てている全世界株ファンドまでお話ししてきました。
「では、その考え方は、何を根拠にしているのか」── 今日は、私の投資の“理論的な背骨”になっている一冊を紹介させてください。それが、『ウォール街のランダム・ウォーカー』です。
まず結論:短期の相場を読み続けるのは難しい
この本の中心にあると私が受け取ったのは、次の考え方です。
私が本から受け取った要点:株価の動きは「ランダムウォーク」のように予測しにくく、短期の値動きを当て続けるのはとても難しい。
過去のチャートの形から未来を読むテクニカル分析も、企業価値を緻密に分析するファンダメンタル分析も、長い目で見れば市場平均に勝ち続けることは簡単ではない。本書は、膨大なデータと歴史をもとに、そう示していきます。
そして、その結論はとてもシンプルです。相場が読めない前提に立つなら、当てにいくより、市場全体に低コストで分散するほうが続けやすい。 つまり、インデックス投資です。これが、世界中で読み継がれてきた理由の一つなのだと思います。
投資の答えを探していた私が、出会った一冊
私がこの本を手に取ったのは、ほかの投資本を読みあさっていたのと同じ時期でした。「自分が進んでいる投資の方向性は、本当に正しいのか」── その答えを探して、評価の高い本を片っぱしから読んでいた頃です。
正直に言うと、最初に手にしたときは、その分厚さにひるみました。版によってページ数は異なりますが、500ページ前後ある、ずっしりとした一冊。気軽に読み流せる本ではありません。それでも、これまでに2回、通して読んでいます。
なぜ2回も読んだのか。理由は単純で、それだけ「腑に落ちる」内容だったからです。読むたびに、自分の投資のやり方に、太い裏づけが一本通っていく感覚がありました。
この本が教えてくれた、3つの大切なこと
分厚い本ですが、私が受け取った核心は、大きく3つに絞れます。
市場はランダムウォーク。プロでも読み続けるのは難しい
ひとつめは、やはり短期の値動きを一貫して読み続けるのは難しいという考え方です。
短期的な株価の動きは、ほとんど予測不能。プロのファンドマネジャーですら、市場平均(インデックス)に勝ち続けるのは至難の業だと、本書はデータで突きつけてきます。
ここで私は、はっとしました。プロでも難しいのなら、片手間で投資をしている素人の自分が、相場を読もうとするなんて、なおさら無理だと。むしろ、その“当てにいく”姿勢こそが、コストと失敗を生むのだと気づかされたのです。
市場はランダムでも、投資「行動」はランダムではいけない
ふたつめが、私がいちばん好きな考え方です。私なりに言い換えると、「市場の動きはランダムでも、自分の投資行動までランダムにしてはいけない」ということです。
相場が読めないからといって、行き当たりばったりでいいわけではない。むしろ、読めないからこそ、こちら側は規律を持って動く必要がある。私が本から受け取ったポイントは、次の3つです。
- 投資の元手になる資金を、時間をかけて着実に貯蓄すること
- 投資の目標を、はじめにしっかりと立てること
- 投資にかかるコストに、つねに目を配ること
「市場は読めないけれど、自分の足元は整えられる」。この感覚は、貯める力を整えてから増やす力へ進んできた私の歩みと、きれいに重なりました。
分散・低コスト・ドルコスト平均法という土台
みっつめは、長く続けるための具体的な知恵です。分散投資を大切にすること。そして、毎月一定額を淡々と買い続けるドルコスト平均法によって購入時期を分け、一度に投資するタイミングの偏りを抑えやすくすることです。
派手さはありません。でも、相場を当てにいかない私にとって、この“地味な王道”は、長く続けるための土台になりました。
この本で、私の「確信」は深まった
読み終えて、私の中に起きたのは、新しい発見というより、確信が深まったという感覚でした。
市場はランダムウォークで、短期の値動きは読みにくい。プロでも難しい。ならば、素人の自分が読もうとするのは、やっぱり無理がある。だったら、当てにいくより、分散の効くインデックス投資を軸にしたほうが、自分には合っている。
この一本の筋が、自分の中でぴたりと通ったのです。かつて個別株に手を出していた私が、迷いなくインデックスへ絞れたのも、全世界株を“軸”に据えられたのも、この本が理屈の面から背中を押してくれたからでした。
「読めない」と認めること。それは、負けを認めることではなく、自分が長く続けられる戦い方を選ぶことだったのです。
正直に言うと、この分厚さは骨が折れる
ここまで良いところを中心に書いてきましたが、フェアにお伝えしておきたいことがあります。
この本は、とにかく分厚い。 版によって違いはありますが、500ページ前後あり、読み進めるには、正直それなりの忍耐が要ります。専門的な記述も多く、投資を始めたばかりの人には、少し難しく感じる箇所もあると思います。
ただ、それを差し引いても、「株式市場の本質=ランダムウォーク」を理解するうえで、学びの多い本だったというのが、2回読んだ私の実感です。
こんな人に、向いていそうです
私の経験から、この本はこんな人に向いていそうだと感じました。
- 腹落ちして、投資を続けたい人 ── なぜインデックスなのか、根っこから考えられます
- 短期売買より長期投資を考えたい人 ── 遠回りに見えても、続ける意味を確認できます
- 投資を始めて間もない人 ── 難しくても、早い段階で読めば、相場との距離感を考えるきっかけになります
逆に、「手っ取り早く儲ける方法を知りたい」という人には、向きません。でも、長く資産を育てる“地図”がほしい人にとっては、長く手元に置きたくなる一冊だと思います。
まとめ:読めないと認めることが、強さになる
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』が教えてくれたのは、結局このひと言に尽きます。
相場を読み切るのは難しい。だから、当てにいかず、分散したインデックスを軸にして、淡々と続ける。 それが、自分には合っている。
「読めない」と素直に認めたとき、私の投資はかえって迷わなくなりました。今も腰を据えて積立を続けられているのは、この一冊が、考え方の背骨になっているからです。
さて、考え方の土台はこれで整いました。次回からは、「では、毎月いくら積み立てるのか」という、もっと具体的な話に入っていきます。積立額をどう決めたのか、等身大でお話しします。
明日もまた、歩きながら考えます。
はいと
40代・4人家族のビジネスパーソン。
毎朝、歩きながらお金と人生のことを考えています。
※本記事は書籍の内容を、筆者(はいと)の解釈と実体験にもとづいて紹介したものです。要約や引用は最小限にとどめています。正確な内容は、書籍でご確認ください。また、投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
情報の出どころ
- バートン・マルキール著、井手正介訳『ウォール街のランダム・ウォーカー』日経BP 日本経済新聞出版(版によって内容・ページ数は異なります)
- 国立国会図書館サーチ|『ウォール街のランダム・ウォーカー』原著第13版 ── 現行日本語版の著者・訳者・出版社・刊行年・ページ数について。
- プリンストン大学|刊行50周年・原著第13版の講演案内 ── 初版刊行年と、本書がインデックス投資の普及に与えた影響について。
- 金融庁|NISA特設ウェブサイト

