『ウォール街のランダム・ウォーカー』書評|相場は読めないと認めて迷わなくなった
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執筆・確認:はいと|40代・4人家族の会社員。2019年に月3万円ほどから積立を始めて約7年。暴落でも売らずに続け、いまは世帯で月30万円。
「チャートを読みこめば、相場の動きを当てられるんじゃないか?」
当て続けるのは、難しいです。短期の値動きは、ほとんど予測できない。プロでも、市場平均に勝ち続けるのは難しい。この本は、それをデータで示しています。
読めないと認めてから、私の投資は、かえって迷わなくなりました。
短期の相場を読み続けるのは、難しい
この本の中心にあるのは、私が読んでこう受け取った、という一点です。
株価の動きは「ランダムウォーク」のように予測しにくく、短期の値動きを当て続けるのは、とても難しい。
過去のチャートの形から未来を読むテクニカル分析。企業価値を緻密に分析するファンダメンタル分析。どちらも、長い目で見れば、市場平均に勝ち続けるのは簡単ではない。本書は、膨大なデータと歴史をもとに、そう示していきます。
そして、その結論はとてもシンプルです。相場が読めない前提に立つなら、当てにいくより、市場全体に低コストで分散するほうが続けやすい。 つまり、インデックス投資です。これが、世界中で読み継がれてきた理由の一つなのだと思います。
投資の答えを探していた私が、出会った一冊
私がこの本を手に取ったのは、ほかの投資本を読みあさっていたのと同じ時期でした。「自分が進んでいる投資の方向性は、本当に正しいのか」── その答えを探して、評価の高い本を片っぱしから読んでいた頃です。
最初に手にしたときは、その分厚さにひるみました。版によってページ数は異なりますが、500ページ前後ある、ずっしりとした一冊。気軽に読み流せる本ではありません。それでも、これまでに2回、通して読んでいます。
なぜ2回も読んだのか。理由は単純で、それだけ「腑に落ちる」内容だったからです。読むたびに、自分の投資のやり方に、太い裏づけが一本通っていく感覚がありました。
この本が教えてくれた、3つの大切なこと
分厚い本ですが、私が受け取った核心は、大きく3つに絞れます。
市場はランダムウォーク。プロでも読み続けるのは難しい
ひとつめは、やはり短期の値動きを一貫して読み続けるのは難しいという考え方です。
短期的な株価の動きは、ほとんど予測不能。プロのファンドマネジャーですら、市場平均(インデックス)に勝ち続けるのは至難の業だと、本書はデータで突きつけてきます。
ここで私は、はっとしました。プロでも難しいのなら、片手間で投資をしている素人の自分が、相場を読もうとするなんて、なおさら無理だと。むしろ、その“当てにいく”姿勢こそが、コストと失敗を生むのだと気づかされたのです。
市場はランダムでも、投資「行動」はランダムではいけない
ふたつめが、私がいちばん好きな考え方です。私なりに言い換えると、「市場の動きはランダムでも、自分の投資行動までランダムにしてはいけない」ということです。
相場が読めないからといって、行き当たりばったりでいいわけではない。むしろ、読めないからこそ、こちら側は規律を持って動く必要がある。私が特に大事だと感じたのは、次の3つでした。
- 投資の元手になる資金を、時間をかけて着実に貯蓄すること
- 投資の目標を、はじめにしっかりと立てること
- 投資にかかるコストに、つねに目を配ること
「市場は読めないけれど、自分の足元は整えられる」。この感覚は、貯める力を整えてから増やす力へ進んできた私の歩みと、きれいに重なりました。
この3つは、いまも続けています。
- 元手を貯める ── 固定費を見直して年約68万円を作り、そのまま新NISAへ回しました。稼ぐ力のほうも、転職と昇進で少しずつ上げています。
- 目標を立てる ── サイドFIREの目標額は7,500万円。数字にしてあります。
- コストに目を配る ── コアは信託報酬(毎年かかる手数料)が最低水準のオルカン(全世界の株にまとめて投資する投資信託)。選ぶときの決め手が、まさにここでした。
本に書いてあった規律を、そのまま自分の家計に置いたのが、この3つです。
分散・低コスト・ドルコスト平均法という土台
みっつめは、長く続けるための具体的な知恵です。分散投資を大切にすること。そして、毎月一定額を淡々と買い続けるドルコスト平均法で、購入時期を分けること。一度に投資するタイミングの偏りを、抑えやすくなります。
派手さはありません。でも、相場を当てにいかない私にとって、この“地味な王道”は、長く続けるための土台になりました。
この本で、私の「確信」は深まった
読み終えて、私の中に起きたのは、新しい発見というより、確信が深まったという感覚でした。
市場はランダムウォークで、短期の値動きは読みにくい。プロでも難しい。ならば、素人の自分が読もうとするのは、やっぱり無理がある。だったら、当てにいくより、幅広く分散できるインデックス投資を軸にしたほうが、自分には合っている。
この一本の筋が、自分の中でぴたりと通ったのです。個別株を購入し、その後も候補銘柄を分析した私が、インデックスへ軸足を移し、全世界株を“軸”に据える。その選択に、理屈の裏づけをくれたのがこの本でした。
「読めない」と認めること。それは、負けを認めることではなく、自分が長く続けられる戦い方を選ぶことだったのです。
この分厚さは、やはり骨が折れる
ここまで良いところを中心に書いてきましたが、フェアにお伝えしておきたいことがあります。
この本は、とにかく分厚い。 版によって違いはありますが、500ページ前後あり、読み進めるには、それなりの忍耐が要ります。専門的な記述も多く、投資を始めたばかりの人には、少し難しく感じる箇所もあると思います。
ただ、それを差し引いても、「株式市場の本質=ランダムウォーク」を理解するうえで、学びの多い本でした。2回読んだ私の実感です。
2回読む価値があるのは、こんな人
「なぜインデックスなのか」を、人に説明できるようになりたい人。 私がこの本を2回読んだのは、そこでした。結論だけなら、ほかの本でも足ります。ただ、データと歴史で裏づけまで取りにいくと、迷いが戻ってきたときに立ち返る場所ができます。
チャートや決算を調べるのに時間を使ってきた人。 私は個別株の候補を調べ、株価を1日に4回ほど見ていた時期があります。その時間が何を生んでいたのかを、この本は静かに突きつけてきます。
逆に、500ページを読み切る時間が取れない人には、すすめにくいです。同じ二人の著者が書いた『投資の大原則』のほうが薄く、エッセンスは重なっています。そちらを先に読む順番も、十分にありだと思います。
まとめ:読めないと認めることが、強さになる
相場を読み切るのは難しい。だから、当てにいかず、分散したインデックスを軸にして、淡々と続ける。 『ウォール街のランダム・ウォーカー』が教えてくれたのは、このひと言でした。それが、自分には合っています。
「読めない」と素直に認めたとき、私の投資はかえって迷わなくなりました。今も腰を据えて積立を続けられている理由のひとつが、この本で得た「読めない」という前提です。
「相場は読めるはず」とチャートを追いかけて、疲れているなら。『ウォール街のランダム・ウォーカー』を、一度手に取ってみてください。分厚い一冊ですが、“読めないと認める”ことが、かえって迷いを減らしてくれます。
明日もまた、歩きながら考えます。
はいと
40代・4人家族の会社員。
お金の知識がなかった、あの頃の自分に向けて書いています。
※本記事は書籍の内容を、筆者(はいと)の解釈と実体験にもとづいて紹介したものです。要約や引用は最小限にとどめています。正確な内容は、書籍でご確認ください。また、投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
情報の出どころ
- バートン・マルキール著、井手正介訳『ウォール街のランダム・ウォーカー』日経BP 日本経済新聞出版(版によって内容・ページ数は異なります)
- 国立国会図書館サーチ|『ウォール街のランダム・ウォーカー』原著第13版 ── 現行日本語版の著者・訳者・出版社・刊行年・ページ数について。
- プリンストン大学|刊行50周年・原著第13版の講演案内 ── 初版刊行年と、本書がインデックス投資の普及に与えた影響について。
- 金融庁|NISA特設ウェブサイト

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